26May
父が他界してから、よく父の夢を見る。
厳しい父で、あんなにたくさん怒られたのに、
夢の中の父は、いつも笑顔で幸せそうだ。
これが、「残った人の心の中で生きる」ということなんだろうか。
わたしたちの生、というものは不思議だ。
生まれることと死ぬこと。
これだけは、どんなに努力しても
わたしたちにはどうすることもできない。
どんなに能力があっても
お金があっても
地位があっても
名声があっても
わたしたちは、生まれてきて、死ぬ。
残った人たちの心の中に
何かしらの思いを残して逝くのならば
もしかしたら
ずうっと昔のご先祖様も
口癖や考え方や習慣や、いろんな形で
今もわたしたちのなかに
生き続けているのかもしれない。
「強く明るく生き抜きなさい」
と言葉を残してくれた父。
父は、「行き抜いた」人生だったのだろう。
戦後、満州から引き上げてきて、
高度成長期を生き抜いた。
ずいぶん波乱万丈な人生だったと思う。
でも、夢に出てくる父は
穏やかで幸せそうに笑っているのだ。
きっと、幸せな人生を、生き抜いたのだと思う。